文学座

色々と特殊な要件があったにもかかわらず、わずか2ヶ月余りで導入いただきました。
クラウド・サービスの柔軟さ、コストパフォーマンスの高さに感激しています。

システムの導入日:2020年9月23日 
お客様の声取材日:2022年1月12日

文学座のご紹介

文学座は1937(昭和12)年9月、久保田万太郎、岸田國士、岩田豊雄(=獅子文六)の文学者の発起によって創立されました。

「真に魅力ある現代人の演劇をつくりたい」
「現代人の生活感情にもっとも密接な演劇の魅力を創造しよう」

本公演、アトリエの会、附属演劇研究所 という大きな三本柱を通して
この創立理念は生き続けています。

(オフィシャルサイトより)

今回は、企画事業部の鈴木 美幸様にお話を伺いました。
劇団様に特有のシステム活用イメージ等、色々と興味深いお話が伺えました。

導入の経緯

旧システムからの移行

いつでも発券の導入前は、Accessで開発した独自システムを使用していました。
ところが、Windows 7の終焉とともにそのシステムが使えなくなることが分かり、慌てて代替システムを探すことになりました。

旧システムでは、運用上必要な各種帳票をはじめ、当劇団が必要とする機能をほぼすべて盛り込む形で手を入れており、大変使いやすいものでした。
特に重要なのが顧客管理機能で、応援して下さるたくさんの皆様に適切なサービスをお届けできるサービス・イメージを表現できることと、
チケット販売に係る業務の効率化と正確性の担保を実現できるシステムを探していました。

コロナ禍とキャッシュレス

おりしもコロナ禍もあり、公演チケットの販売とそれに伴うお支払い周りを極力人と人が触れ合わずに実現できる手段を考慮する必要性も出てきておりました。
それまでは、あらかじめ印刷したしたチケットを手売りするスタイルで、お座席の管理は紙台帳がベースでした。
やはりダブルブッキングなどは結構発生してしまっておりましたし、お問い合わせ等含め電話対応が大変で、その辺りも何とかしたいと思っていました。

選定理由、決め手

複雑な会員管理機能

当劇団では会員の皆さんからの年間を通してのご支援を創作活動の基盤としております。
現在は「文学座支持会」と「文学座パートナーズ倶楽部」の運用を通じて会員の皆様に多様な特典をご提供させていただいております。

会員特典による割引価格でのチケットのご提供や、規定人数のご招待。
また、先行予約の受け付けや各種パーティーへのお誘い等、優待サービスの内容は多岐にわたります。

こうした、会員様の御支援内容に伴う複雑なチケット販売に係わるバリエーションの多彩さをもれなく表現できる仕組みは必須です。
単なる会員管理ではなく、複雑多岐な会員ステータスと連動した販売バリエーションを設定・運用できる必要があります。

こうしたニーズに応えてくれる会員管理/チケット販売システムは、他には見つかりませんでした。

※画像は文学座様よりご提供いただきました。

座席指定が大事

お客様にとっては、劇場・ホールによってお気に入りのお席が決まっており、その一席はお客様にとってスペシャルな存在です。
ですので、チケット販売するにあたってはお客様ご自身でお席を指定できることが理想です。
オンラインで自動的に販売する際も、システムを使ってスタッフが管理画面を使って販売する際にも、分りやすい操作でお座席が選択でき、お客様のライフスタイルにマッチした多様なお支払・受け取り方法が選択できることが大事です。

座席レイアウトが組める

私共の公演は、演目によって、その都度オリジナルの客席レイアウトを組むこともしばしばです。
ですので、指定席販売に必須の座席図を、オリジナルな客席レイアウトが決まった後で自分で組めることが必須でした。
導入検討時にはまだリリース前の座席図作成ツールのご説明を受け、少しのタイムラグで欲しい機能が使えることが分かりましたので、その点も安心できました。

関係者毎の販売管理

撮影:宮川舞子

当劇団のチケットの販売管理は、俳優・スタッフを含む関係者毎の売上げ管理が必須です。
販売チケット毎に、どの関係者からの引き合いでご購入いただいたのか、紐づけ管理ができることが重要です。

ご贔屓の会員様の把握や、次回公演のご案内等含め、チケット販売と会員管理の連動における大切な要素です。

導入検討時には、システムの機能を使ってこの要件を満たすのは難しかったのですが、ご相談してみたところ、チケットの予約毎に、『宣伝媒体』という項目を設定できるようになる機能追加予定があるとのことでした。

詳しく内容を確認させていただいたところ、本劇団の関係者を『宣伝媒体』として登録し運用すれば、関係者毎のチケット販売管理ができそうなことが分かり、無理を言ってリリース時期を早めてもらいました。
おかげさまで、導入後運用当初より必要な機能が使えるようになり大変感謝しております。

関係者それぞれがどの程度公演チケットを販売できているのか?劇団員にどれだけご贔屓が応援してくれているの把握等、劇団系には必須の機能です。

導入まで2か月しかない

次回の定期公演まであまり時間が無い中で、現状のシステムは使えなくなる事が分っておりましたので、かなり焦っていました。

撮影:宮川舞子

営業の方に相談したところ、最短でシステム導入するためにトライアル環境での評価をSkipする形をご提案頂きました。
通常ならシステムが持つ機能と実際の業務要件のFit&Gapを洗い出し対応を検討するプロセスを、そのまま導入準備期間に充てることになりました。

色々な要件に柔軟に応えてくれるシステムで助かりました。

 

導入後の感想、導入効果など

会員サービス内容の設定

複雑で多岐にわたる会員サービス内容と、宣伝媒体管理機能を活用した販売管理情報等に必要な要件を、全てシステムに登録しきれるのはある意味快感です。
旧システムは専用システムでしたので、それに比べれば若干手数が多くなりがちなのは、汎用システムなのでやむを得ないと思います。
ですが、標準の機能でここまで細かい会員向けサービス機能が実現できることが大変ありがたいです。
加えて、オンラインで会員登録いただくことが前提ですが、住所等、会員情報を御自身で更新いただけけますので会員管理業務上の大きな省力化につながっています。

予約取り消し時の返金処理が改善

そういえば、予約取り消し時の返金処理が楽になりました。
これまでは、チケット販売システムで予約取り消しを行ってから、さらに決済代行会社の管理画面でキャンセル処理を行っていましたが、『いつでも発券』はチケット販売システムからの予約取り消しが決済代行会社のシステムと連動しておりますのでひと手間減ります。
コロナ禍においては、予約取り消しも大量発生しましたので手間が半分になることが有難かったですね。

予約/発券の自動化

やはり、オンラインで直販できるメリットは大きいです。
極端な話、こちらが休んでいる間にも、勝手に予約・発券してもらえるわけですから。
それに、オンライン・カード決済なら返金も自動化です。
コロナ禍で公演中止になった際に、お電話等でご購入いただき入金はされたもののその後返金の必要が生じたのですがお客さまと連絡が取れなくなってしまい、その後の対応に苦慮したことがありました。
そうした状況自体がだいぶ減ることになりましたので、助かっています。

ブッキングミス等の減少

いつでも発券の導入前は、チケットは原券で管理していました。
公演のチケットは全て印刷し、売れたチケットはその都度原券を取り出し、購入者にお渡ししたり郵送等を行っておりました。
人の手で扱うわけですので、当然、ミスをしてしまうリスクはあります。チケットを取り違える、予約・購入内容を間違える。。等々
そのミスを防ぐために複数人で何度もチェックをしていました。

いつでも発券の導入後は、売れたチケットをその都度発券するば良いわけで予約内容を元に発券されるので間違いがありません。
また、座席図をベースに空き席の管理もシステム内で共有されておりますので、ダブル・ブッキングも起こりません。
人手でチケットを扱うのは色々な意味で融通が利いて便利なことがあるのも確かですが、システムで厳密に管理したほうが業務効率が良いのだということを実感しています。

劇場側で発券業務が完結

公演を催す劇場で、来場者に発券できることも大きなメリットです。
公演当日受け取りでチケットお買い求めになる方も一定数いらっしゃいます。
劇場にノートPCとプリンタを持ち込んで、そうしたニーズに対応しています。
予約一覧から必要な予約を検索し、予約者ご本人の確認が出来ればその場で必要なチケットを発券できます。

各種集計情報のcsv出力

とにかくなんでもcsv出力ができるのがありがたいです。
実際のチケット予約・販売状況をもとに各種集計情報が出力できますので、正確ですし応用範囲が広いです。
必要に応じてexcelで加工して有効活用しています。

サポートのレスポンス

本番稼働前からですが、サポート窓口のレスポンスには感動しました。
実機だった旧システムのでサポートは、不具合が生じた際にサポートエンジニアにアポを取り、来社してもらい、システムを持ち帰って修正を行うため、かなりの時間を要するのが普通でした。
クラウドでのサポートは私が見ている画面と同じ画面をサポートさんに共有で観ていただけるので、その場で不具合や設定の間違いが確認できます。
開発のスピードもはやく、いつのまにかシステムがどんどん使いやすくアップデートされていきます。

 

今後ほしい機能やご要望など

アンケート収集

公演の感想を始め色々なアンケートを取っているのですが、これがシステムの機能として利用できるようになると大変助かります。
アンケート内容が会員情報と紐づけて管理できると、マーケティング等に色々と活用できそうです。

弊社>
ご提案ありがとうございます。
今後の機能強化の参考にさせて頂きます。

最後に

クラウド・サービスは便利です。
使ったことがありませんでしたので、導入にあたりどうなるのかと正直心配でした。
ですが、思ったより簡単・便利で、コスパも良く大変助かっています。

ご協力、ありがとうございました。
今後とも、よろしくお願いいたします。

 

編集後記:
文学座様では、ご自身の運用要件をきちんと把握され、汎用的なシステムの機能をうまく使いこなして頂いていることが実感できました。
今後も、機能性の高さと使い易さの両立を意識してシステムを進化させ続けていきたいと思います。